家づくりは、
考え始めた瞬間から、選択の連続です。
間取り、設備、デザイン、性能、土地。
「自由に選べる」という言葉に魅力を感じて、
注文住宅を検討される方も多いと思います。
実際、これまで多くのご相談をお受けする中でも、
「自分たちの暮らしに合わせて、好きなように選びたい」
という想いは、とてもよく伝わってきます。
一方で、家づくりに関わり続ける中で、
私自身が強く感じていることがあります。
それは、
選べたこと自体よりも、
どう考え、どんな理由で選んだかの方が、
住んでからの満足感に深くつながっている
ということです。
設備や間取り、デザインは、
どれも間違いなく大切です。
ただ、それらは“目的”というより、
暮らしを形にするための“手段”なのだと思っています。
少しだけ、あるデータをご紹介すると、
注文住宅を検討している方も、実際に建てた方も、
「自由に選べること」や
「ライフスタイルに合わせられること」を
大きな魅力として挙げています。
ただ、住んでからは、その割合が少し落ち着く傾向も見られます。
この結果から感じるのは、
自由に選べることそのものより、
“ちゃんと考えて選んだかどうか”が、
後から効いてくるということです。
家づくりの打合せでは、
どうしても
「何を入れるか」
「どんな形にするか」
という話が先に進みがちです。
けれどトミオでは、
その前に、少し立ち止まって考える時間を
大切にしたいと考えています。
この家で、
どんな朝を迎えたいのか。
帰ってきたとき、
どんな空気に包まれていたいのか。
休日は、家の中でどう過ごしたいのか。
そうした日常の風景を言葉にしていくことで、
必要な間取りや設備は、
後から自然と輪郭を持ちはじめます。
もうひとつ大切にしているのが、
暮らしの変化です。
お子さまの成長、
働き方の変化、
年齢を重ねた先の暮らし。
今の「ちょうどいい」が、
ずっと続くとは限りません。
だからこそ、
決めすぎないこと。
使い方を変えられる余白を残すこと。
そうした考え方が、
長い目で見たときの
暮らしやすさにつながることも多いと感じています。
私自身、
「これが正解です」と答えを提示するよりも、
「どんな暮らしが心地よさそうですか?」
「それは、なぜそう思われますか?」
そんな問いを一緒に考える家づくりを
大切にしていきたいと思っています。
自由に選べるからこそ、
迷うのが注文住宅です。
だからこそ、
一人で抱え込まず、
考える順番を整理しながら進めていくことが、
後悔を減らす一番の近道なのではないでしょうか。
これからもトミオでは、
設備やデザインを決める前に、
そのご家族の暮らしや時間の使い方を
丁寧にお聞きしながら、
「住んでからも、これで良かったと思える家」を
一緒につくっていきたいと考えています。
最後に
家づくりは、
正解を探す作業ではなく、
ご家族にとっての“納得”を重ねていく時間だと思っています。
その過程に、少しでも寄り添える存在でありたい。
そんな気持ちで、これからも一つひとつの家づくりに
向き合っていきたいと思います。
tomio小山田憲央



