土地が決まっていないのに、間取りから考えたい…? — 家づくりの順番について、少しだけ大切なお話

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2025/12/03
スタッフブログ

お家づくりのご相談は、
土地探しからご一緒にスタートするケースがほとんどです。

一方で、まれにこのようなご相談をいただくことがあります。

「土地はまだ無いのですが、先に間取りやプランを考えてもらえますか?」
「間取りを決めてから、それに合う土地を探したいんです」

お気持ちは、とてもよく分かります。
家づくりが初めてだからこそ、
“まずは家のイメージを固めたい”
そう思われるのは、自然なことだと思います。


ただ、ここで一つ、
どうしてもお伝えしておきたいことがあります。

それは、
間取りやプランは、土地の条件と切り離して考えることができない
ということです。


住宅のプランニングは、
単に「部屋を並べる作業」ではありません。

・土地の間口や奥行き
・道路の位置や方位(東西南北)
・前面道路との高低差
・隣地との距離や建物の配置
・法規制(建ぺい率・容積率・斜線制限など)

こうした条件が重なり合って、
初めて“その土地に合った間取り”が生まれます。

土地が変われば、
同じ家族、同じ要望でも、
プランはまったく別の形になることがほとんどです。


また、現実的なお話をすると、
土地探しにおいて
100点満点の売地は、ほぼ存在しません。

多くの場合、
60点〜80点くらいの土地の中から、
何を優先し、何を受け入れるかを整理しながら、
取捨選択していくことになります。

そのため、
土地が決まっていない状態で
「この間取りが入る土地を探す」という考え方は、
実際にはかなり難しく、
場合によっては土地探しを
長引かせてしまう原因にもなります。


では、
土地が無い段階では
何も考えなくていいのかというと、
決してそうではありません。

大切なのは、
“間取り”を考える前に、
“暮らし”を整理すること
だと考えています。

・どんな時間を大切にしたいか
・家の中でどう過ごしたいか
・将来、暮らしはどう変わりそうか

こうした部分を言葉にしておくことで、
土地が見つかったときに、
その土地の良さを活かしたプランを
スムーズにつくることができます。


私たちが
土地が決まっていない段階で
具体的な間取りプランをお出ししないのは、

「土地が無いからできない」
「面倒だからやらない」

という理由ではありません。

むしろその逆で、
意味のないプランをお渡ししたくない
という思いからです。

土地条件を無視したプランは、
参考にならないどころか、
後から混乱を招いてしまうこともあるからです。


家づくりは、
順番を少し間違えるだけで、
遠回りになってしまうことがあります。

だからこそ、
最初は形を決めるのではなく、
考える順番を整えることを
大切にしたいと考えています。

土地探しも、家づくりも、
一緒に整理しながら進めていく。
その方が、
結果的に納得のいく住まいに近づけると
私たちは考えています。

tomio小山田憲央

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